最近見た、イタリアの映画「ヴィラージュの結婚」(原題Flash out)に、モーリタニアに残る女子への強制飲食の慣習、ガバージュが描かれている。ヴィラージュ本人は、本当はガバージュもお見合い結婚も乗り気じゃないのに、伝統と慣習に逆らえず、食べたくなくても真夜中に母親が作った食事を無理に食べたり、結婚前の女子会パーティーに行って盛り上がってまぎらわす。あまりセリフのない映画だが、ヴィラージュの表情や行動から彼女の抑えられた感情を見て取ることができ、同じ女性として切なくなる。
モーリタニアでは、特にアラブ系の人々(モール)の間で、女性は太っていれば太っているほど美しい、とされている。日本や欧米で言えば完全に「肥満」のレベルだ。娘を持つ親にとって、娘をどんどん太らせて美しくし、良家に嫁げるようにしてあげることが、重大な責任となっている。それがガバージュだ。
とはいえ国土がほとんど砂漠の国では、手に入る食物の種類は限られていて、大半の国民は毎食たらふく食べれるほどに豊かではない。比較的入手しやすくて脂肪分も高いのがラクダ乳。小さいころから無理にたくさん飲ませたりして、美しい女性に育て上げようとするそうだ。さらに結婚適齢期になると、真夜中に起こされてヤギ肉料理を食べさせられたり、パン粉のオリーブオイル漬けやラクダ乳を飲まされたりするという。先述の映画の中では、毎日決まった時間にヴィラージュの体重測定が行われる。目標体重達成までガバージュは続くのである。
最近の若い世代は、健康上の理由や価値観の多様化で、ガバージュも減ってきているとは聞いているが、個人売買のフェイスブック・ページでは「太る薬」が宣伝される。需要があるということだ。また、以下のブログによると、ガバージュを受けている女子は首都では7%だが、遠隔地では75%というからまだまだ根強く残っている。
こちらの女性の一般的な外出時の服装は、メラファと言って長い一枚布で頭から足先まで覆っている。なので体系なんてほとんどわからない。ふくよかな女性の後姿は、大きなお尻がゆらりゆらりとするたびにメラファがふわりふわりとなびく様は、なぜかトップモデルがランウェイを歩く姿を想像させる。
身体的にも精神的にも苦行に近そうな伝統・慣習だが、モーリタニア社会の中で女性が自信をもって生きていく一つの術なのだろうか。
へぇ、そんな習慣や価値観があるんですね。タイでも子どもは丸々してたほうがいいって考えありますもんね。
昔は貧しかったから、ふくよかなほど健康だとか裕福だと信じた(というか願った)のでしょうが、やはり時代の流れで変わらなければならない伝統もありますよね。
肩はどうですか?
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そう、国の経済水準と理想体重は反比例するんですかね?
肩はまだまだ痛いですが、復活目ざしてストレッチに励んでます!お気遣いどうもありがとうございます!
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